ピルだけじゃないよ!生理痛とホルモン治療

Basket Flowers Bouquet Woman  - mohamed_hassan / Pixabay 産婦人科あれこれ
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こんな方におすすめ:
・生理痛はつらいけど、ピルの副作用も心配な方
・生理痛の、ピル以外の治療法を知りたい方
・ホルモン治療に不安がある方

生理痛を我慢して得することは1つもありません

「生理痛は我慢するものだ」「生理があるからには、痛いのはしょうがない」と思っていたり、周りから言われたりして、生理痛にじっと耐えていませんか?

日々婦人科外来をやっていると、重い生理痛に耐えかねて受診した方が「生理痛は我慢するものだと思っていた」と言う場面が数多くあります。我慢に我慢を重ねた結果、子宮内膜症など婦人科疾患の発見が遅れるというケースも残念ながら珍しくありません。

 痛みを我慢しても、何一つ得はありません。「生理中、痛みのせいで生活に支障が出る」「あの痛みを思い出すと、毎月1回の生理が憂鬱」「市販薬も大して効かない…」当てはまる方は、迷わず婦人科を受診しましょう。

生理痛に対しては、痛み止めや鎮痙剤など症状を和らげる薬を処方できるほか、ピルなどのホルモン治療を行うことが多いです。10代~30代の方にはピルが処方されることが多いですが、ピルには血栓症など副作用のリスクもあります。ピル以外の治療について知りたい方は、ぜひ続きを読んでみてください。

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ちなみに、「ホルモン治療で不妊になる」というのはデマです。
ホルモン治療のせいで卵巣機能が落ちることはありません。

ホルモン治療を中止すると、もともとの排卵機能に問題がない方であれば1‐2か月以内に妊娠可能な状態に戻ります。

ピル以外の月経困難症治療薬

①レボノルゲストレル(商品名:ディナゲスト®、ジエノゲスト®)

錠剤の黄体ホルモン剤で、子宮内膜を薄く保つ効果があります。月経困難症を改善し、出血量を減少させます。1日2回内服します。

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開発元は持田製薬で、Made in Japanのお薬です。

メリット
ピルとは違い、血栓症のリスクがありません。ピルの副作用が心配でピルを飲みたくない方や、喫煙、肥満、年齢などの理由からピルを処方できない方に処方します。
デメリット
ほとんどの方が飲み始めに不正出血を経験します。不正出血は少量であることが多く、飲み続けていれば半年以内に収まることが多いですが、長いと1年以上続くこともあります。また、避妊効果はないため、性交渉の際にはコンドームなど他の方法で避妊する必要があります。
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1日2回の内服がちょっと面倒…というお声もいただきますね。

 

レボノルゲストレル放出システム(商品名:ミレーナ®)

ミレーナ®は、3㎝くらいのT字型の器具で、子宮の中に挿入することで効果を発揮します。子宮の内膜を薄く保つことで生理痛を軽減し、避妊効果も期待できます。一度入れたミレーナは5年間効果が続きます。

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「生理痛から解放された」と喜びのお声をいただくことが多いです。

>>参考:子宮内黄体ホルモン放出システム ミレーナ®52mg

出産経験がある方だとより挿入しやすいですが、出産経験がなくても挿入することは可能です。「出産経験がない方はミレーナ®お断り」という残念な医療機関もあるようなので、事前に対応してくれるかどうか電話で問い合わせましょう。

メリット
ディナゲスト、ジエノゲストと違い内服の必要がありません。入れたばかりの時期は位置ずれがないか確認するために1~6か月間隔で診察が必要ですが、問題なければその後は1年に1回の通院となります。挿入の費用は保険適用で1万円程度かかりますが、総合的に見ると内服薬より総合的には安く済み、通院の回数も少ないです。また、何らかの事情でパートナーには内緒で避妊したいときにも役立ちます。避妊目的で挿入する場合には自費診療となり、医療機関にもよりますが、3万円前後かかります。
デメリット
ミレーナを入れる前に、クラミジアや淋菌の検査が必要です。ミレーナを入れるときや抜くときは、婦人科診察が必要です。子宮の状態によっては挿入できなかったり、挿入しても効果が出にくい場合があります。挿入時と挿入直後は、生理痛のような痛みが出ることがあります。また、位置がずれて効果が薄れたり、抜けてしまうことがあります。5年を過ぎて入れっぱなしにしてしまうと、腹痛や発熱の原因になることがあります。
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生理痛から解放されて交換時期をつい忘れがちになりますが、期限が来たら必ず交換または抜去しましょう。

生理痛と上手に付き合おう

生理による体調不良がもたらす経済損失は年間6828億円(!)とも言われています。何度でも言いますが、生理痛に耐えて得することは一つもありません。悟りも開けません。

忌々しい生理痛に毎月悩まされている方は、ぜひお近くの婦人科で相談してくださいね。

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